タロット16

   塔  - 破滅、崩壊、災難 -


   落雷を受けたバベルの塔が表わされたカードです。昔、バベルの塔を作った王様は
   「私は神よりも偉大なのだ」と、どんどん塔を高くし、天に向かい矢を放ちました。
   その傲慢さに怒った神様は塔に雷を落とし、破壊したのでした。

   人間とは自信がつくと傲慢になる生き物で、過去の恩恵や初心を忘れてしまいます。
   人間の向上心、創造力は素晴らしい文明を次々築いて来ましたが、己の力に溺れ
   節度を失うと結果全てを崩壊させ破滅させてしまうということを、この塔のカードは
   物語っています。自信がついた時こそ謙虚と感謝の気持ちを忘れないようにという
   警告をしているのです。

   つまらないプライドと傲慢さから大切な家庭を失った男性がいます。
   それまでは平凡でささやかな幸せを大切にする男性でした。彼は家庭のため、
   一生懸命仕事を頑張りました。その結果、どんどん出世し、周りからちやほやされるようになり、
   金銭的に余裕も出来、日に日に態度が傲慢になっていきました。
   妻や子供達は心配し、注意を促しますが傲慢な男性は全く聞く耳を持ちません。
   男性は高価な買い物を沢山し、愛人を作り、お城のような大きな家を建てました。
   しかし、男性の傲慢さ、我侭さについて行けなくなった家族は、在る日突然、男性の前から
   姿を消しました。
   男性は、居なくなってはじめて家族の大切さを嫌というほど味わう事になったのです。
   元をたどれば家族に楽をさせるため、必死に働いていたはず。しかし、いつのまにか
   初心を忘れ、幸せにするはずだった家族を不幸にしてしまいました。

   これは良くある話しですし、冷静な判断力さえあれば「馬鹿な男だ」と批判できるでしょう。
   しかし、人間は弱い生き物です。何時、何処で彼の様に自分を見失う事になるかはわかりません。
   初心や恩恵を忘れず、謙虚な気持ちを胸に人生を送れたらと、自らの戒めのためにも
   私は常々思います。



   

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